「ディア・ファミリー」の完成報告会見で、記念撮影に臨む(前列左から)大泉洋、菅野美穂と、(後列左から)川栄李奈、福本莉子、新井美羽=2024年4月24日、手塚耕一郎撮影

「ディア・ファミリー」の完成報告会見で、記念撮影に臨む(前列左から)大泉洋、菅野美穂と、(後列左から)川栄李奈、福本莉子、新井美羽=2024年4月24日、手塚耕一郎撮影

2024.4.24

「ディア・ファミリ-」〝家族決起会見〟 「雨はデフォルト」大泉洋が怪気炎

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勝田友巳

勝田友巳

医療機器開発の実話を基にした映画「ディア・ファミリー」(毎日新聞社など製作委員会)の完成報告会見が24日、東京・明治記念館で行われた。月川翔監督のほか、主演の大泉洋と妻役の菅野美穂、3人の娘を演じた福本莉子、川栄李奈、新井美羽と映画の中の5人家族が勢ぞろいした〝家族決起会見〟。映画で不屈の父親を演じた大泉は、会見でも独壇場。サービス精神いっぱいで、会場を大いに盛り上げた。


 

娘の死乗り越えカテーテル開発

外はあいにくの雨。開口一番、大泉は「私にとっては安定の雨。幸先のよいスタート」。〝雨男〟として知られるだけに「やる気とともに雨脚も強くなってます」。妻役の菅野も「クランクインの日も、たしか雨。〝雨降って地固まる〟でいきましょう」と息の合ったところを見せていた。

 
映画は、現在も世界中の医療現場で使われているカテーテルを開発した町工場の経営者と家族がモデル。大泉が演じた父親の宣政は、次女佳美が心臓の難病のため10年しか生きられないと知り「人工心臓を作ってやる」と宣言。医療は素人だったが医師や学者に話を聞き、私財を投じて大学と共同研究に乗り出す。苦闘の末に佳美は助けられないものの「自分の命はもういいから、たくさんの人を救ってあげて」と託される。

 

諦めない強さ描く 娘亡くすだけの物語ではない

「佳美はどうしたらあの一言が言えたのか、知りたかった。自分も娘がいてつらい撮影になりそうだったが、娘を亡くすだけの物語ではなく、演じる意義があると思った」と出演の動機を語った。モデルとなった人物にも会い「全然自分には似てないが、父親とは共通したものがあると感じた」という。「自分たちの世代と違って、何もない時代を経験しているから、なせば成るの精神で諦めない強さがある」
 
菅野は大泉と初共演。「明るいパブリックイメージ通りの人。ヒョウヒョウとしたたたずまいは大泉さんしか出せない。宣政に親しみがわくのは、大泉さんの持ち味かな」。大泉も「予想を突き抜けて明るかった。控室の笑い声で、菅野さんが来たことが分かる。そのおかげで、きょうも頑張ろうと思える。歩くパワースポットでしたね」。

 

川栄李奈「もう1回」のはずがリテーク10回

大泉の心を動かした、佳美が「たくさんの人を救って」という場面は、福本が参加してすぐの撮影だった。「手探り状態で一番大事なシーンを演じなければならず、前の晩からドキドキした。がんばりました」と振り返った。長女の奈美を演じた川栄は撮影中、デビュー以来初めて、自分から「もう1回お願いします」とリテークを望んだという。「自分から言ったんだから1回で決めなきゃと焦ってしまって、結局10回以上撮り直した」。月川監督は「時間が迫って大変だったが、最後にいいカットが撮れた」とフォロー。新井は末妹の寿美を演じた。「緊張で演じられなくなったときに話しかけてくれて、本当のお姉ちゃんみたいだった」


 
それぞれの言葉に大泉が当意即妙の合いの手を入れ、笑いの絶えない会見に。最後に「父親として家族の激励を」と求められた大泉、取材陣に背中を向けて「魂込めて取った映画。少しでも多くの人に見てもらうために宣伝ファミリーとなってがんばろう!」とハッパをかけ、大受けだった。

ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

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  • ディア・ファミリー」の完成報告会見で笑顔を見せる(左から)管野美穂、川栄李奈、新井美羽=2024年4月24日新宮巳美撮影
  • 「ディア・ファミリー」の完成報告会見で場を盛り上げる大泉洋(中央)と菅野美穂(右)、月川翔監督=
  • 「ディア・ファミリー」の完成報告会見に臨む大泉洋(左から3人目)ら出演者と月川翔監督(左端)=2024年4月24日、
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