白い牛のバラッド
イランのテヘランで暮らすミナは、1年前に夫を殺人罪で死刑に処せられた女性。牛乳工場で働き、口のきけない幼い娘を育てる彼女が、裁判所で衝撃的な事実を告げられる。夫は殺人を犯しておらず、真犯人は別人だったというのだ。やがて担当判事の謝罪を求めて裁判所に通うミナの前に、夫の友人と称するレザという中年男が現れる。 冤罪(えんざい)を題材にしたサスペンス映画である。夫を亡くした悲しみに暮れるミナは、公式に過ちを認めようとしない裁判所の対応に納得できず、夫と死別したゆえに社会の古い慣習や価値観にも苦しめられる。共同監督を務めたベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム(主演を兼任)は、ミナと謎めいた男レザ...