The Beasts
スペイン・フランス作品監督:ロドリゴ・ソロゴイェン
「ザ・ビースト」記事件数
常日ごろから新たなミステリー&スリラー映画の発掘に余念がない筆者が、先ごろ開催された第35回東京国際映画祭で真っ先に目をつけたのが、コンペティション部門に出品されていた「ザ・ビースト」(2022年)だった。スペインの山間の村に移り住んだ中年のフランス人夫婦が、よそ者の彼らを敵視する地元住民と激しく対立。その思いがけない行く末を描き上げたこの重厚なスリラーは、コンペ審査委員長のジュリー・テイモアに「まさに傑作」と言わしめ、東京グランプリ、最優秀監督賞、同男優賞(ドゥニ・メノーシェ)の3賞を独占した。 シネマの週末 特選掘り出し「ザ・ビースト」評 キーワード「問題を抱えたバディー」 ...
高橋諭治
2022.11.22
東京国際映画祭で東京グランプリはじめ、最優秀監督賞、同男優賞と3冠を制した。日本公開は未定だが、一見の価値あり。どこかで上映されたら、ぜひ注目を。 フランス人の元教師アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)は、妻のオルガ(マリーナ・フォイス)とスペインに移住して農業を営んでいる。隣家のシャンとその弟がアントワーヌを敵視し、執拗(しつよう)に嫌がらせを繰り返す。閉鎖的な共同体で先鋭化しあらわになる、人間の悪意や攻撃性を描く心理スリラー。と言えば、やがてアントワーヌと兄弟の激突に至ると容易に予想できるだろう。しかしロドリゴ・ソロゴイェン監督は巧みな仕掛けを施して、見慣れたジャンル映画に新鮮さを加えてい...
2022.11.11
コロナ禍から脱しつつある中で開かれた、第35回東京国際映画祭(10月24日~11月2日)。開幕時のレッドカーペットが復活し内外のゲストも多く訪れ、お祭りらしいにぎわいが戻ってきた。コンペティション作品もなかなかの粒ぞろいで、東京グランプリはじめ3冠を制した「ザ・ビースト」は高い完成度だった。 しかし、盛り上がったのは会場の中だけ。一歩外に出ると、雑踏にまぎれて映画祭の影はたちまち薄くなる。安藤裕康チェアマンは就任以来、大胆な改革を進めてきたが、その成果と、もどかしさも感じた映画祭だった。 「ザ・ビースト」© Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo...
勝田友巳
2022.11.10
「希望とは、目覚めている人間が見る夢である。」 有名な哲学者アリストテレスが残した名言の一つである。では、希望を持つことができないとはどういうことなのか……。 周りから完全に遮断された閉鎖的な世界で、変わることを禁じられた人々が「生きよう」とする世界。映画「アリスとテレスのまぼろし工場」について語っていく。 変化することを禁止 14歳の菊入正宗はいつものように仲間たちと普通の毎日を過ごしていた。ある日、町の製鉄所爆発事故により町が一変。空に謎のひび割れができ、時が止まってしまった。再び町が元に戻った時に支障をきたさないよう、変化することを町民一同禁止し、正宗たち学生は〈自分確認票〉...
堀陽菜
PRワーナーブラザース映画、MAPPA
2023.9.13
第35回東京国際映画祭は2日、授賞式が行われ、最高賞の東京グランプリに「ザ・ビースト」を選んで閉幕した。「ザ・ビースト」はロドリゴ・ソロゴイェンの最優秀監督賞、ドゥニ・メノーシェの同男優賞と3冠を獲得。日本映画「窓辺にて」(今泉力哉監督)は観客賞を受賞した。 賞の結果は以下の通り。 東京グランプリ 「ザ・ビースト」 審査委員特別賞 「第三次世界大戦」 最優秀監督賞 ロドリゴ・ソロゴイェン 「ザ・ビースト」 同女優賞 アリン・クーペンヘイム 「1976」 同男優賞 ドゥニ・メノーシェ 「ザ・ビースト」 同芸術貢献賞 「孔雀の嘆き」 観客賞 「窓辺にて」 アジアの未来 作品賞 「蝶の命は...
2022.11.02