チャートの裏側:闇の深部に迫る対峙を
今年の興行は、テレビドラマの実写映画化作品、いわゆるドラマ映画が鍵を握る。そう思えるほど、ドラマ映画の数が多い。その年明け最初の作品が、「映画 イチケイのカラス」である。スタート3日間の興行収入は2億4000万円。悪くはないが、ヒットとは呼べない。 原作はコミックだ。裁判官と弁護士を主人公に、海難事故と企業の闇をめぐる話を並行して描く。コミカルな調子で進むように見えて、作品の芯にはズシリと重いテーマがある。国と地域社会の問題を、重ね合わせたような中身を持つからだ。興味深い試みではあると思う。 では、このような体裁が面白いのかどうか。そこが興行の一つの鍵になるわけだが、正直に言えば疑問が残っ...