シネマの週末・チャートの裏側:方程式揺り動かす挑戦
テレビ局映画といっても、地上波局とBS局では、いささか製作の姿勢が違う。それを象徴したのが、BS局のWOWOWが、日活とともに製作の手綱をとった「前科者」だ。この局は、社会派の色を濃くする作品に挑む時、一段と精彩を放つ。本作は、その大きな成果になった。 仮釈放された人の保護観察を行う女性保護司が主人公だ。映画は、犯罪をめぐる加害者、被害者という二分法的な構図を揺り動かす。彼女が、その際の行動者だ。エンタメ色の彩りも、作品全体を淡く包み込む。観客は大きな問いをしょいこむ。この演出は並大抵の技ではない。 一方、地上波局の日本テレビが製作幹事となった「ノイズ」は、エンタメ色をより強烈にしたサスペ...