チャートの裏側:鬱憤を吹き飛ばす体験
評判のインド映画「RRR」で、得難い経験をした。公開3週目、日曜日の東京・新宿のシネコンである。映画が終わると、「ワー」といったような歓声が起こった。かなりの人数だった。瞬発的に、前列席から拍手が湧き上がり、それが自然発生的に中央席あたりまで広がった。 今年、最高の映画館体験であった。映画への興奮が、歓声、拍手とつながる光景は、なかなか見られることではない。この数週間、新作の興行的な低迷が顕著だ。理由ははっきりしている。作品に原因がある。鬱憤がたまった。それが「RRR」で吹き飛んだ。まさに拍手である。 タイトルとともに出る「インド 1920年」「蜂起と反乱」の文字が、映画のすべてを語る。見...
大高宏雄
2022.11.11