チャートの裏側:社会へ訴える力、広い層に
〝社会派問題作〟が2本入った。邦画の「空白」と米映画の「MINAMATAミナマタ」だ。両作を、その言い方でひとくくりにするのは無理もあるが、あえて使う。前者は、少女の交通事故死から起こる周囲の人たちの混乱、混迷を描く。後者は米国のカメラマンが水俣の公害を追う。 「空白」は見ごたえがある。作品の底流には、人と人との関係性の困難さが詰まっている。憎悪も無関心も善意も同じ土俵に乗る。そこに耐え難い苦痛が噴出する。困難さは悲劇がなくても、現実の日々の営みの中で絶えず起きている。映画から身に染みることが山ほどある。 「MINAMATA」は製作、公開の意味が計り知れない。事前に、多くのメディアが本作を...