チャートの裏側:狂騒の時代に愛を込めて
洋画ファンが減少して久しい。洋画のヒット作が激減した新型コロナウイルスのまん延以降というより、もう随分と長い間、そのような実感をもってきた。洋画ファンに関して、明快なデータはない。だが、そのようなことを考えないと、洋画低迷の理由は説明できない。 「バビロン」は、現在の洋画ファンの動向を知る上で注目した作品だった。無声映画からトーキーに至るハリウッド映画の革命期を舞台にした。そこで働く人たちのエネルギー、狂騒ぶりがすさまじい。画面に飛び交う欲望の渦が、毒蛇のようにとぐろを巻いている感じだ。 ただ、見る前と印象は変わった。狂騒ぶりがいささか度を越している。いわゆる、えげつないシーンも多い。だか...