Onoda: 10,000 Nights in the Jungle
監督: アルチュール・アラリ
「ONODA 一万夜を越えて」記事件数
チャート外に洋画話題作が目立つ。「最後の日本兵」として知られる小野田寛郎を描いた合作映画「ONODA一万夜を越えて」や園子温監督の初ハリウッド作「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」などだ。スクリーン数が100以下ということもあり、10位以内に入ってこない。 2本で重要なのは国境を超えた映画製作だ。外国人が日本を描く。日本の監督が海外作品を作る。「MINAMATAミナマタ」もその1本。日本の映画界は人的交流や市場性を含めて、内向きになる傾向が強い。ここにきて、その流れに変化が起こり始めているのが面白い。 「ONODA」には驚いた。小野田をはじめ、登場人物がステレオタイプな日本人像になってい...
2021.10.14
太平洋戦争後の29年間、フィリピンのジャングルにとどまった小野田寛郎を、フランスのアルチュール・アラリ監督が映画化した。史実を正確に再現することには重きを置かず、むしろ異様な緊張状態に長期間置かれた人間の成れの果てを見ようとする。 航空兵になる夢が挫折した小野田は、陸軍中野学校でゲリラ戦を教え込まれ、やがてフィリピン・ルバング島に赴任する。「玉砕は許さない、生き延びて情報を送れ」と命じられたものの敗色濃厚な戦況で兵士の士気は低く、小野田は体力と気力の残っていた3人と共にジャングルに潜伏する。 アラリ監督はキャラクターを掘り下げて物語を語るより、時間の積み重ねを見せようとする。小野田がスパイ...
2021.10.07