スピルバーグのラブレター
スティーブン・スピルバーグ監督の新作「フェイブルマンズ」は、監督自身の少年時代を描いた伝記的作品だ。2月の第73回ベルリン国際映画祭で名誉金熊賞を贈られて記者会見した監督は、「コロナ禍で外に出られない間に年齢や死を考えて恐ろしくなったことが、自分と家族を描こうと思ったきっかけ」と明かした。 映画で、スティーブン少年は家族と映画館で「地上最大のショウ」(1952年、セシル・B・デミル監督)を見て映画のとりこになり、8㍉カメラを手に入れて自分で撮りまくる。自作映画を自主上映し、大勢の観客が見入っている姿を満足そうに眺めていた。映画を見る幸せ、作る楽しみ、見せる喜びがあふれていた。スピルバーグ監督...

勝田友巳
2023.3.07