引退しても忘れられない 元刑事が示す未解決事件への執念「L.A.コールドケース」
辞職あるいは引退した刑事が、現職時代に解決できなかった因縁の事件を捜査し続けている──という展開に弱い。使命感を持って職務を遂行する時点で十分に尊ぶべきだが、それはあくまで〝職務〟に過ぎないとも言える。彼らは、誇りを持って危険な仕事に身をさらすが、それが仕事ですらなかったら? 安定した給金も大きな見返りもなく、資金も環境も人員も不足した状態にもかかわらず、膨大な時間を費やし、誰に頼まれるでもなく自らのために捜査する……そんな無償の執念にこそひかれるのだ。 描くのは事件より捜査官 「L.A.コールドケース」(8月5日公開)もまさにその系譜に連なる一作。1997年に起き、いまだ解...
髙橋佑弥
2022.7.31