特選掘り出し!:パワー・オブ・ザ・ドッグ 男らしさの陰を細やかに
今年の米アカデミー賞で作品賞など主要部門を中心に12ノミネートされ、監督賞を受賞した作品。1920年代のモンタナ州、大牧場主の兄弟、フィル(ベネディクト・カンバーバッチ)とジョージ(ジェシー・プレモンス)が出会ったのは、未亡人のローズ(キルスティン・ダンスト)。ジョージはローズと結婚するが、フィルは彼女と連れ子(コディ・スミットマクフィー)に冷たく当たる。 初めはこじれた家族の物語かと思いきや、その先に浮かび上がるのは〝男らしさ〟の呪縛をめぐるやるせない物語だ。かつて「ピアノ・レッスン」で女性の欲望を描いたジェーン・カンピオン監督が、カウボーイを主人公にした作品で現代と地続きの問題を描き出し...