この1本:「島守の塔」 「生きろ」今に響く叫び
第二次世界大戦は、これまで無数の映画の題材となってきたが、ほとんどは市井の人々か、戦闘に参加した将兵の視点で描かれてきた。本作は、沖縄県知事として赴任した島田叡(あきら)と県警察部長の荒井退造が主人公。沖縄戦の中で葛藤し、県民の命を守ろうとした2人の官僚を描く。 戦況が悪化する1945年1月、島田(萩原聖人)は、死を覚悟して沖縄に赴任した。連合国軍の上陸を前に、荒井(村上淳)と共に県民の生活を守り、戦闘に巻き込まない方策を探ろうとする。 しかし島田は、軍司令部の命令と、県民を守るという使命感との間で苦闘する。県民の食糧確保に奔走し、息抜きを求める庶民に理解を示す一方、少年たちを鉄血勤皇隊と...