チャートの裏側:苛烈な現実 二重写しに
初登場の「ウェディング・ハイ」は、実に楽しい作品だ。タイトルにある「ハイ」=高揚感の作用が、映画を見た観客に強烈に及ぼしてくる感がある。気分が良くなるのだ。映画が、それを狙っていたら、たいしたものである。ただ、興行が苦戦している。残念極まりない。 結婚式に至るまでの人間模様、式の混乱が面白おかしく描かれる。式に臨む当事者や招待者たちのありそうな気持ちをベースにしている。共感の根が、そこにある。巧みなセリフの数々を、よどみなく練りあげていく演出手腕が見事だ。本作を埋もれさせてはもったいない。 「THEBATMAN」は、「ハイ」とは逆の作用を観客に与える。復讐(ふくしゅう)を基本線にした話が、...