チャートの裏側:実写の邦画、心に響く新作
約4カ月ぶりの実写作品首位の「花束みたいな恋をした」は、恋愛の奇跡と普通を描く。奇跡は好み、趣味性のありえないような一致。普通は、生活上のよくある不一致だ。菅田将暉、有村架純主演の本作は、その卓抜な作劇術が面白い。特に恋愛の〝奇跡〟部分が全く新しい。 観客には若い女性が多い。本作の変化球的な恋愛劇へのアプローチが、彼女たちの心のアンテナに届いたのだろう。最終興行収入は10億円超見込みで及第点だが、この力業ならもっと上を望む。今の観客は、変化球に慣れていないかもしれない。今後は、その見極めが気になる。 「ヤクザと家族 The Family」は、ヤクザになった1人の男がたどる長い歳月を描く。前...