したたかな計算と苦悩 東京ステーションギャラリー館長が見た「バンクシー 抗うものたちのアート革命」
バンクシーの作品は分かりやすい。謎のアーティストと言われるが、それは本人が誰かはっきりしないからであって、作品は明快そのものだ。図柄は具象的というよりも具体的で、何が描かれているのか迷うことはないし、メッセージも明確だ。それはしばしば掲出する場所と深く関連しているから、より強いメッセージとして機能する。 バンクシーの作品は現代にふさわしい 美術界における権威の象徴とも言うべき美術館に自作をゲリラ的に展示したり、オークションで自作が落札された直後にその作品を細断したりといったパフォーマンスは、その行為全体をバンクシーの作品と言って差し支えないが、これもまたその意味やメッセージは至って...
冨田章
2023.5.17