イーストウッドが仕掛けた異様すぎる実録ミステリー「チェンジリング」:謎とスリルのアンソロジー
言わずと知れた世界的な大巨匠のクリント・イーストウッドは、今世紀になってから数多くの実話ものを手がけている。「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」(共に2006年)の2部作、「インビクタス 負けざる者たち」(09年)、「J・エドガー」(11年)、「アメリカン・スナイパー」(14年)、「ハドソン川の奇跡」(16年)、「15時17分、パリ行き」(18年)など、00年代半ば以降に発表した監督作の半分以上が実話ネタだ。 キーワード「結びつく二つの怪事件」 なかでも最も奇妙な実話の映画化が「チェンジリング」(08年)だ。〝チェンジリング〟はヨーロッパの民間伝承における〝取り替え子〟を意味...

高橋諭治
2022.12.06