特選掘り出し!:「アメリカから来た少女」心の揺らぎ瞳にたたえ
少し前に「はちどり」「夏時間」という思春期の少女の内面の揺らぎを描いた韓国映画が話題になったが、本作は台湾で数多くの賞に輝いた家族ドラマ。1990年生まれのロアン・フォンイー監督が、自身の体験を投影させた長編デビュー作である。 主人公のファンイー(ケイトリン・ファン)は、母(カリーナ・ラム)が乳がんになったためロサンゼルスから台北に戻ってきた13歳の少女。新しい学校になじめず、アメリカの友だちを恋しがる彼女は、ことあるごとに母に不満をぶつけ、仕事で不在がちな父(カイザー・チュアン)や幼い妹との関係もギクシャクしていく。 映像表現に「はちどり」ほどの鋭さはない。いわば思春期映画の定型に収まっ...