ベルイマン島にて
スウェーデンが生んだ巨匠、イングマール・ベルイマン監督が愛したフォーレ島。映画作家として認められて間もないクリス(ヴィッキー・クリープス)と、既に名のある監督のトニー(ティム・ロス)が、この島にやって来る。 停滞感を抱いている2人が、夫婦のすれ違いを描いた「ある結婚の風景」の撮影が行われた家でひと夏を過ごすのだから、全編にかすかに不穏な気配が漂う。けれども海辺でありながらどこか乾いた島の美しい風景や名所めぐりに出かける場面のおかげで、重いタッチに傾くことはない。 クリスが執筆中の脚本をミア・ワシコウスカ主演の劇中劇として織り込み、虚と実を行き来する入れ子の面白さもある。カップルのモデルは、...