たかもり みゆき
「バカ塗りの娘」原作「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊)
タイトルの「バカ塗り」とは、青森の伝統工芸・津軽塗を指す言葉。完成までに四十八工程あり、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫と言われるほど、塗っては研ぐを繰り返す。漆が丁寧に塗り重ねられるように、本作も津軽塗の完成までの工程を丁寧に映し出す。 津軽塗職人を目指す娘、美也子と寡黙な職人の父、清史郎。家族より仕事を優先し続けた清史郎に愛想を尽かして家を出た母、家業を継がず美容師として自由に生きる兄。バラバラになってしまった家族が、美也子のある大きな挑戦によって再び向き合う。つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。 素朴で不器用な23 ...