この1本:「いとみち」 津軽の響き、迷って躍動
女子高生、津軽三味線、メイドカフェと三題噺(ばなし)のような青春映画。青森の女子高生いと(駒井蓮)はなまりが強く、引っ込み思案。祖母仕込みの津軽三味線は一流なのに、弾く姿がかっこ悪いと敬遠気味だ。やりたいことが見つからず弾みで応募したメイドカフェのバイトに採用され、新しい世界への扉を開く。 越谷オサムの小説を、横浜聡子監督が映画化した。「ウルトラミラクルラブストーリー」「俳優 亀岡拓次」などを手がけてきた横浜監督、人間観察の視点が独特で、今回も迷える女子高生を主人公にしながら、自分探しにも三味線スポ根物にもせず、いとが他者と出会って視界を広げ、社会とのつながりを結ぶまでを、情に溺れすぎること...