この1本:「ヒューマン・ポジション」 繊細さに硬派なひと筆
日本で公開される北欧の映画、数は少ないし派手な大作もないけれど、見て良かったと得した気分になる作品が多い。フィンランドのアキ・カウリスマキ監督の一連の作品もそうだし、スウェーデンのロイ・アンダーソン監督のシュールなコメディーとか、ノルウェーなら現代を生きる女性を活写した「わたしは最悪。」、静かなホラー「イノセンツ」も忘れがたい。語り口が落ち着いているし、映り込む風景や町並みも端正だ。「ヒューマン・ポジション」は、北欧らしいミニマリズムにちょっぴり硬派なひと筆を加えている。 ノルウェーの港町オーレスンが舞台。夏の間、かつて働いていた新聞社に復帰した記者の女性、アスタ(アマリエ・イプセン・ジェン...