時代の目:「キャンディマン」 悲劇の怪物、幻想的ホラー
鏡の前で「キャンディマン」と5回つぶやくと、かぎ爪の手を持つ怪物が現れる。そんな都市伝説を映像化した1992年の同名ホラーの続編だ。主人公アンソニー(ヤーヤ・アブドゥル・マティーン2世)は、恋人とともに米シカゴの高級アパートに移り住んだ若き芸術家。地元に伝わるキャンディマンのうわさ話に興味を抱いた彼の周辺で新たな惨劇が起こる。 前作で鮮烈なインパクトを放ったキャンディマンのルーツは、19世紀末の奴隷制度の犠牲者だった。今回、製作と脚本を手がけた「ゲット・アウト」のジョーダン・ピールは、歴史上繰り返されてきた人種差別を主題に取り込み、その悲劇と怒りを象徴する存在としてキャンディマンを再定義した...