あるた りさ
漫画家、原作:「明日を綴る写真館」(BRIDGE COMICS/KADOKAWA刊)
印象に残るのは泣き顔ではなくて笑った顔 「ディア・ファミリー」は、よく泣く映画だ。出てくる人たちが、たくさん涙を流す。家族の1人が不治の病で助からないのだから、当然ではある。それでもこの映画、印象に残るのは泣き顔ではなくて笑った顔だ。特に、映画の半ばで命が尽きる次女の佳美の笑顔がいい。その死は物語の終点ではなく、むしろ新たな始まりとなる。若い命が失われる悲運に見ている方も泣かされるけれど、見終わると前向きな気分になって、温かい気持ちで席を立つ。〝難病もの〟はたくさん見てきたけれど、こんな映画、なかなかない。 苦闘と挫折の10年 登場する坪井家の人たちは、みなたくましい。映画は...
勝田友巳
PR東宝
2024.6.13
あるた梨沙による同名漫画を原作に、「20歳のソウル」(2022年)の秋山純監督が映像化。どうすることもできないまま抱えている人生の〝想い残し〟をテーマに紡ぐ優しい感動作。主人公の鮫島武治を演じるのは、60年に渡る俳優人生の中で初めての主演となる平泉成。相手役の気鋭カメラマン・太一を「Aぇ! group」の佐野晶哉が演じる。 気鋭カメラマン・太一(佐野晶哉)は、さびれた写真館を営む無口なカメラマン・鮫島(平泉成)の写真に心を奪われ、キャリアを捨てて弟子入りを志願する。訪れる客と丁寧に対話を重ね、カメラマンと被写体という関係を超えてまで深く関わる鮫島の姿に、太一は驚きを隠せない。人々の抱える悩み...