毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。
2021.4.29
データで読解:「映画復興」再度足踏み
「名探偵コナン 緋色の弾丸」が2週連続1位となり、2位には前週末公開の人気シリーズ最終章、2部作の1作目「るろうに剣心最終章TheFinal」がつけた。しかし動員は「こんなはずじゃなかった」という結果となった。
緊急事態宣言で、日曜日の25日から東京、大阪など4都府県で多くの映画館が休業となったからだ。昨年来のコロナ禍で世界中の映画館が休館に追い込まれたが、日本での営業再開は比較的早く、延期が相次いだハリウッド洋画の公開を待つばかりだったが、急に足踏みとなった。
一方、アメリカでは1年以上多くの映画館が閉鎖されていたが、ワクチン接種が進み、前向きなニュースも出てきた。主要都市の映画館が再開し、「ゴジラvsコング」が好スタートを切り、全米公開された「劇場版鬼滅の刃無限列車編」も外国語映画としては記録的な興収となるなど復興の兆しが見える。
映画市場の活性化に必要なのはバラエティーに富む作品だ。さまざまなジャンルのヒットが観客層を作り、その観客層がヒットを生み、市場が形成される。日本でも、既に公開されている邦画やアニメだけでなく、ハリウッド映画の公開が待たれる。誰もが苦しい状況を越えた後、映画興行は真の復興を遂げる。(GEM Partners代表・梅津文)