この1本:「春江水暖」 世の憂い、悠久の山河
中国の経済発展に伴う急速な変化は地方都市にもおよぶ。1988年生まれのグー・シャオガン監督は、故郷の杭州市富陽が再開発で変わりゆく様を撮ろうと思い立ち、この長編デビュー作を構想したという。そして試行錯誤を重ねた2年間の撮影の末、驚嘆すべき映画を完成させた。 グー家の長男は中華料理店の店主で、自宅を取り壊される漁師の次男は船上暮らし。三男はダウン症の息子を育て、気ままな四男は解体作業員。この4兄弟を中心に、認知症を患う母、結婚話が持ち上がる子供たちを絡めた3世代の家族劇が展開していく。 国家資本主義がふくれ上がった中国の世相を巧みに取り込んだ物語は、住宅価格の高騰や借金苦、介護などの問題にあ...