「またヴィンセントは襲われる」 現実社会が行き着く果てを示す
デザイナーのヴィンセント(カリム・ルクルー)はある日、職場のインターンに突然パソコンで殴られた。同僚と話をしていると、ペンで手をめった刺しにされる。いずれも理由も前触れもなく、相手は襲撃の間の記憶がない。以来、目が合っただけの人から襲われるようになり、危険を避けるため田舎の一軒家に避難した。やがて同じ境遇は一人ではないことが分かり、各地で暴力事件が多発する。 突如凶暴化し意識のない相手に襲われるヴィンセントの状況は、不条理の極み。おびえて逃げる姿は、まるでゾンビ映画だ。ただし「なぜ?」「どうしてこうなった?」への答えはない。暴力がまん延する現実社会が行き着く果てを示す、社会派ホラーとして上出...