「悪い子バビー」 数奇な軌跡に不思議な解放感やいとおしさ
バビー(ニコラス・ホープ)は、母から「外に出ると汚染された空気で死ぬ」と言われ35年間、暗く汚い部屋に閉じ込められて生きてきた。ある日突然、父親と名乗り牧師をしているという男が帰ってくる。「パパ」の出現で邪魔者扱いされ、疎外感を募らせたバビーは、両親の顔にラップを巻き付けて殺害。外の世界に飛び出していく。 母との隷属的関係や近親相姦(そうかん)が描かれる序盤はグロテスクで陰湿。しかし、外の世界で遭遇する人々やバビーとの関係性は淡々としていて、悲喜劇の側面を強調するわけでもない。のんびりとした空気感が漂う街や人々の間で、バビーは右往左往する。 バビーはやがてロックバンドの一員となり、頭に残っ...