特選掘り出し!:「夜を越える旅」 若い力、鮮やかな展開
あらかじめ言い訳しておくと、この評、奥歯に物の挟まったような書きぶりになる。というのも極力ネタばれを避けたいから。新人監督による低予算の小品だがひねりが利いてなかなかの見応えだ。 大学を卒業しても漫画家の夢を諦められない春利(高橋佳成)は、ゼミ仲間と1泊旅行に出かけた。学生時代に付き合っていた小夜(中村祐美子)との思い出に浸っていると、小夜が遅れて現れる。2人で再会を喜ぶうちに、昔の感情がよみがえってきて……。 と、この辺まではモラトリアム男のさえないラブストーリーだが、映画はある瞬間に突然転調する。まずはその手際が鮮やかで、仕掛けを知って見ていたのに、思わず声を上げてしまったほど。 大...