特選掘り出し!:「サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~」 失った日常、葛藤を繊細に
米アカデミー賞で作品賞など6部門にノミネート(音響賞、編集賞を受賞)されながらも、アマゾンでの配信にとどまっていた秀作の劇場公開が実現した。主人公ルーベン(リズ・アーメッド)はメタルバンドのドラマー。トレーラーハウスでの巡業中、医師から回復の見込みのない重度の難聴だと宣告された彼の苦悩を描く。 轟音(ごうおん)鳴り響く音楽の日常を失ったルーベンは、絶望して自暴自棄に陥る。やがて彼が身を寄せたのは、ベトナム帰還兵の男(ポール・レイシー)が運営するろう者の支援コミュニティー。映画はそこで入居者や子供たちと交流し、手話を学ぶルーベンの姿をドキュメンタリーのように映し出す。無音の現実を受け入れるべき...