「石がある」 なんにも起きない豊かさ
東京から地方の町にやってきた若い女性(小川あん)が、あてどもなくこの町の名所を探している。親切な老人に車で駅に送ってもらったり、小学生とサッカーに興じたり。やがて彼女は川で水切り遊びをしている地元の青年(加納土)と出会う。 PFFアワード入選作「ブンデスリーガ」以来となる太田達成監督の長編第2作。友人との旅行中に石拾いをした経験に基づく作品とのことで、深刻な社会問題や人間の心の闇などが描かれるわけではない。主人公の見知らぬ男女は、お気に入りの石を見つけたり、川辺をのんびりと歩いたりするだけ。互いの身の上話どころか、名前さえ語らない。これで長編映画として成り立つのかと心配になるが、たった2人の...