この1本:「グリード ファストファッション帝国の真実」 虚飾と困窮、黒い戯画
マイケル・ウィンターボトム監督は多芸多才。「イン・ディス・ワールド」など社会派映画もお手のものだ。この映画でもファストファッション業界をとば口に、資本主義の暗部をどぎつく風刺する。 風光明媚(めいび)なギリシャ・ミコノス島で、アパレル業界の大富豪マクリディ(スティーブ・クーガン)が、60歳の誕生パーティーを準備している。成り上がりのマクリディは金に物を言わせやりたい放題。下品で尊大、しかも悪趣味。巨額のギャラでセレブを招き、余興は古代ローマのような円形闘技場で人間とライオンを格闘させるという。しかし闘技場の建設は遅れるし、浜辺にシリア難民がテントを張って景観を妨げる。マクリディは怒り、顔色を...