「聖なるイチジクの種」 国の闇をエンターテインメントに昇華して世界に届ける覚悟
反政府デモが行われているイラン。国家公務に従事するイマン(ミシャク・ザラ)は念願の予審判事に昇進する。しかし、仕事内容は反政府デモ逮捕者の起訴状を捏造(ねつぞう)することだった。そんなさなか、護身用に支給された銃が家から消える。銃を隠したのは、誰なのか。任務を遂行しようとするイマン、家庭の平穏を優先する妻ナジメ(ソヘイラ・ゴレスターニ)、自由を求める2人の娘。それぞれの思いが交錯し家族が分断されていく様が、サスペンスフルに描き出される。 背景にあるのは、ヒジャブ着用の取り締まりを受け、身柄を拘束された女性の死をきっかけにした2022年の〝女性・命・自由〟運動。この家族がイラン社会の縮図である...