2022年に実際に起き、社会問題となった、ある若い女性の不審死に対する市民による政府抗議運動が苛烈さを増すイランを背景に、家庭内で消えた一丁の銃を巡って誰も知らない家族の顔が炙り出されていくサスペンススリラー。監督・脚本は、第70回カンヌ国際映画祭ある視点賞を受賞した「ぶれない男」(2017年)や第70回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した「悪は存在せず」(20年)のモハマド・ラスロフ。本作は、第77回カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞するが、本作がカンヌコンペティションに選出されると、イラン政府は本作の上映延期を求め、ラスロフ監督に禁錮刑の判決を出すなど圧力をかけたため、ラスロフ監督は数名のスタッフとともにイランを脱出して28日間かけてカンヌに到着、表現の自由の制限や抑圧に対する声明文を発表した。第82回ゴールデングローブ賞非英語作品賞ノミネート作品。
国家公務に従事するイマンは、20年間にわたる勤勉さと愛国心を買われ、夢にまで見た予審判事に昇進する。しかし業務は、反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を課すための国家の下働きだった。報復の危険が付きまとうため、国から家族を守る護身用の銃が支給される。しかしある日、家庭内から銃が消えた。最初はイマンの不始末による紛失だと思われたが、次第に疑いの目は、妻のナジメ、姉のレズワン、妹のサナの3人に向けられる。誰が? 何のために? 捜索が進むにつれ疑心暗鬼が家庭を支配する。そして家族さえ知らないそれぞれの疑惑が交錯するとき、物語は壮絶に狂いだす。
公開日: 2025年02月13日
聖なるイチジクの種
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原題:Dane-ye anjir-e ma'abed
2024年 /フランス、ドイツ、イラン /167分
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