「ニューヨーク・オールド・アパートメント」 移民を取り巻く過酷な社会で生き抜くたくましさ
母親ラファエラ(マガリ・ソリエル)とともにニューヨークの片隅で暮らす双子の兄弟ポールとティト(アドリアーノ&マルチェロ・デュラン)はペルー出身の不法移民。ウエートレスの仕事に疲れたラファエラは、店の客で作家の口車に乗せられて新たな事業を始める。一方、ポールとティトは語学学校で出会ったクロアチア人美女に憧れを抱く。 移民の母子が幾多の苦難を経てアメリカンドリームをたぐり寄せる話かと思いきや、そうではない。スイス出身の新人監督マーク・ウィルキンスは、夢や希望をファンタジックにうたい上げず、異邦人の視点で移民を取り巻く現実を描いた。透明人間のように見過ごされ、時には理不尽な仕打ちに遭う母子の日常は...