とみたあきら
AKIRA TOMITA
新潟で産湯をつかい、別府で温泉に浸かって育つ。慶應大学、成城大学大学院卒。そごう美術館、サントリーミュージアム[天保山]を経て2011年より東京ステーションギャラリー館長。近現代美術に関する多くの展覧会を企画。2016年には「追悼特別展 高倉健」の構成を担当した。著書に「偽装された自画像」「印象派BOX」「ゴッホ作品集」など。
バンクシーの作品は分かりやすい。謎のアーティストと言われるが、それは本人が誰かはっきりしないからであって、作品は明快そのものだ。図柄は具象的というよりも具体的で、何が描かれているのか迷うことはないし、メッセージも明確だ。それはしばしば掲出する場所と深く関連しているから、より強いメッセージとして機能する。 バンクシーの作品は現代にふさわしい 美術界における権威の象徴とも言うべき美術館に自作をゲリラ的に展示したり、オークションで自作が落札された直後にその作品を細断したりといったパフォーマンスは、その行為全体をバンクシーの作品と言って差し支えないが、これもまたその意味やメッセージは至って...
冨田章
2023.5.17