〝不思議の国〟より恐ろしい アリスと白ウサギ「ラン・ラビット・ラン」:謎とスリルのアンソロジー
劇中に〝アリス〟という少女が登場し、〝白ウサギ〟をきっかけに世にも奇妙な物語が転がり出す。そう聞けば、誰もが「不思議の国のアリス」を想起するだろう。ところがオーストラリア発のNetflixオリジナル映画「ラン・ラビット・ラン」(2023年)には〝アリス〟も〝白ウサギ〟も出てくるのに、ルイス・キャロルの名作の映画化ではない。「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」など数多くのTVシリーズの演出を手がけてきたダイナ・リード監督が、同国の作家ハンナ・ケントのオリジナル脚本を基に撮り上げた恐怖劇である。 キーワード「逃れられない過去」 不妊治療医のシングルマザー、サラ(セーラ・スヌーク)が、一...
高橋諭治
2023.7.25