さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について
児童文学者エーリヒ・ケストナーの唯一の大人向け小説の映画化。1931年のベルリン。会社勤めのコピーライターで作家志望のファビアン(トム・シリング)と親友で政治活動に打ち込む裕福なラブーデ(アルブレヒト・シューフ)、ファビアンと恋に落ちるが女優を夢見るコルネリア(ザスキア・ローゼンダール)の3人を中心に、ナチズムの足音を示唆しつつ、不安定な世相の中で惑う若者たちの愛と喪失を描いた。 冒頭の現代の地下駅から地上の当時に移っていく映像は、二つの時代を重ね合わせる強い意志を感じて圧巻。30年代のニュース映画などを取り込んで、後に時代に切り裂かれ、流されていく青春群像を暗示する。狂騒と不安が織りなす時...