最も過小評価されているスリラー 「フレイルティー 妄執」:謎とスリルのアンソロジー
「神の声が聞こえた」。殺人事件の容疑者が逮捕後にこのような動機を語ることは、現実社会においてもしばしば起こりうるケースだ。その殺人者は心を病んでいるのか、精神疾患を装っているのか、それとも本当に〝神の声〟を聞いたのか? 今回紹介する「フレイルティー 妄執」(2001年)は、まさしくそんな怪事件の行く末を描くミステリースリラーである。 キーワード「信用の置けない語り手」 このいささか複雑な構造を持つ映画は、ある深夜、テキサス州ダラスのFBI支局にフェントン・ミークス(マシュー・マコノヒー)という青年がやってくるところから始まる。フェントンは応対したドイル捜査官(パワーズ・ブース)に、...
高橋諭治
2022.9.04