この1本:「アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台」 「ゴドー」と自由を重ね
刑務所の受刑者が服役中に行う活動として、演劇のワークショップが開かれる。最初は渋々だった参加者がだんだん本気になり、やがて公演を成功させる――だけなら、どこかで見たようなと思っても不思議はないが、この映画、半ば過ぎあたりで公演を成功させ、早々に喝采を浴びてしまう。さてその後は。フランス映画らしいひねりと皮肉が漂って、結末も新鮮。 新しい指導者としてやって来た、売れない役者のエチエンヌ(カド・メラッド)。それまでの活動は寸劇のセリフを覚えて仲間内で発表するだけ。それではつまらない、本格的な舞台公演をと思い立つ。刑務所長に掛け合って半年後の「ゴドーを待ちながら」の上演を認めさせた。基礎から演技を...