選ばなかったみち
ニューヨーク。メキシコ人移民の作家、レオ(ハビエル・バルデム)は認知症を患っている。記者で娘のモリー(エル・ファニング)はアパートを訪れて通院を助けるが、父との意思疎通は難しく、トラブル続きの日が始まる。 サリー・ポッター監督は自身の弟が若年性認知症になった経験をもとに脚本を書き下ろした。物語は必死で父をサポートする娘の現実と、父の脳内の映像で、初恋の女性(サルマ・ハエック)と出会ったメキシコや、スランプに陥って訪れたギリシャでの日々を行き来しながら進んでいく。三つの物語は場所もタッチも異なるため、「ファーザー」のように現実と幻想の境界線が溶けてしまう恐ろしい感覚は希薄だ。監督はそれよりも、...