Tarr Béla
1955年7月20日 生まれ
映画監督、脚本家「ファミリー・ネスト」(1977年)「アウトサイダー」(1981年)「ダムネーション/天罰」(1988年)「サタンタンゴ」(1994年)「ヴェルクマイスター・ハーモニー」(2000年)
「ニーチェの馬」(2011年)を最後に、56歳という若さで映画監督からの引退を表明したタル・ベーラ監督が、4年の歳月をかけて完成させた伝説とも称される作品。2015年に英文学賞ブッカー国際賞を受賞したクラスナホルカイ・ラースローの同名小説を原作に、秩序に縛られながらも自由を求め、未来に幻想を抱き、世界に幻滅し、それでも歩き続ける人間の根源的な姿を描く7時間18分に及ぶ大作。タンゴのステップ「6歩前に、6歩後へ」に呼応した12章で構成され、前半の6章は複数の視点で一日の出来事が描かれ、後半の6章はイリミアーシュが村に戻ってきてからを描いている。 経済的に行き詰まり、終末的な様相をまとうハンガリ...
「ニーチェの馬」(2011年)を最後に、56歳という若さで映画監督を引退したタル・ベーラ。1994年に約4年の歳月を費やして完成させた7時間18分に及ぶ「サタンタンゴ」に次いで発表された本作は、タル・ベーラの日本劇場初公開作。全編わずか37カットという長回しで、扇動者の声によって人々が対立していく様を描き出す。 ハンガリーの田舎町で、天文学が趣味のヴァルシェカ・ヤーノシュは、老音楽家エステルの身の回りを世話している。エステルは、ヴェルクマイスターという18世紀の音楽家が定めた音律を批判しているようだ。ある日、広場に見世物のクジラと、プリンスと名乗る扇動者が現れる。その声に煽られるように広場に...