この1本:「逆転のトライアングル」 支配と隷属の黒い戯画
「フレンチアルプスで起きたこと」「ザ・スクエア 思いやりの聖域」と、人間の欲望と虚飾を辛辣(しんらつ)に描いてきたリューベン・オストルンド監督。社会に遍在する格差を徹底的に風刺したこの喜劇で、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した。 3部構成の映画は、モデルのカップル、ヤヤ(チャールビ・ディーン)とカール(ハリス・ディキンソン)が狂言回し。置かれる状況に応じて2人の関係性は激変し、そこに性や経済、階級などさまざまな社会格差が暴露される。 第1部では高級レストランで食事を終えた2人、どっちが食事代を払うかで口論となる。カールが払うのが当然のように振る舞うヤヤに、カールは「昨日は君が払うと言っ...