この1本:「ゴッドランド/GODLAND」 孤独な異境の旅の果て
アイスランドから不思議な映画がまた一つ。かの国から日本に来る作品、「馬々と人間たち」(2013年)、「LAMB/ラム」(21年)など〝常識〟では計り知れない。本作も、荘厳な自然とちっぽけな人間の苦悩が奇妙な遠近感で対比されている。 19世紀後半、デンマークの牧師ルーカス(エリオット・クロセット・ホーブ)は教会建設のため、アイスランドへ派遣される。ルーカスは風景や人々を記録するために陸路を選び、湿板写真機など大量の荷物を積んだ馬の隊列が、現地のラグナル(イングバール・E・シーグルズソン)を案内人に荒野を進むことになる。 映画の前半は、ルーカスの惨めで困難な旅を追う。言葉は通じず厳しい地形と気...