返校 言葉が消えた日
観客に〝恐怖〟を提供するホラー映画は、テーマが二の次になりがち。ところが台湾のジョン・スー監督の長編デビュー作は、重いメッセージをはらんでいる。国民党の独裁政権下で、長らく市民への思想弾圧が行われていた白色テロの時代を背景にしたミステリー仕立てのホラーである。 戒厳令下の1962年。高校3年生の少女ファン(ワン・ジン)が教室で目を覚ますと、なぜか不気味に静まりかえった校舎は廃虚と化していた。男子生徒ウェイ(ツォン・ジンファ)と出くわし、無人の校内を探索するファン。やがて彼女は、秘密の読書会のメンバーが当局に摘発された事件の真相に迫っていく。 人気ゲームが原作の娯楽映画だけに、同じく白色テロ...