新海誠作品を支える神話的構造――「ほしのこえ」から「すずめの戸締まり」まで(前編):よくばり映画鑑賞術
*編集部注・物語の結末まで明かしています。 新海誠は「異界」を描くことに並々ならぬこだわりを持った作家である。「ほしのこえ」(2002年)から最新作の「すずめの戸締まり」(22年)に至るまで、彼の監督作品はすべて「異界に赴いた登場人物がそこで何かしらの啓示を得る物語」と要約できる。 一口に「異界」といっても、さまざまなバリエーションが存在する。ファンタジー色の強いものもあれば、日常の延長として位置づけられるものもあるだろう。まずは新海作品における「異界」のありようを概観し、後半で「すずめの戸締まり」のケースを検討しようと思う。 「異界」で啓示を得る物語 新海作品の「異...
伊藤弘了
2022.11.28