「チャートの裏側」映画評論家の大高宏雄さんが、興行ランキングの背景を分析します

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2021.6.10

チャートの裏側:時代と格闘、有終の美

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

「るろうに剣心」2部作が1、2位のそろい踏みだ。2位の前作は緊急事態宣言に伴い、公開3日目の4月25日から東京都、大阪府の上映館が休業になった。1位の新作は、2都府での休業要請緩和後の6月4日から公開された。2作品は緊急事態宣言に翻弄(ほんろう)されたと言える。

興行で言えば、前作は明らかに休業の影響を受けた。それがなかったスタート2日間の勢いからすれば、最終興行収入で50億円が十分に視野に入った。ところが、結果は推定38億円前後か。新作は、3日間の興行収入比較では前作を約30%下回った。さあ、これをどう見るか。

2部作の公開形態は例外があるものの、常識的には最初の作品が興行には有利になる。要の宣伝展開が、最初の作品に向けて行われることが一つの理由だ。宣伝の集中度が違う。今回、休業要請の有無があったので、後発の作品に有利になるかに見えたが、セオリー通りだった。

中身の影響もあったか。というのも、この2部作は明治初期の動乱が軸の前作に対し、幕末が舞台の新作では主人公の前日譚(たん)を描く。話が連続していないので、観客の関心度がバラけたとも考えられる。個人的には時代と格闘する主人公の内面を、前日譚でもっと深く知りたかったが、とにもかくにも、さらば「るろうに剣心」である。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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