この1本:「パスト ライブス/再会」 おき火の恋 運命と諦観
幼なじみのナヨンとヘソンの、24年に及ぶ初恋とその後始末。情熱的、破滅的に燃え上がる激情とは対極の、言葉にも行動にも至らないけれど、長い間静かにくすぶり続けたおき火のような思い。これがデビュー作というセリーヌ・ソン監督が、いくつもの層が重なった繊細な感情を、東洋的情緒の中に描き出した。 ソウルで仲良く子供時代を過ごした2人は、ナヨン一家がカナダに移住することになって離ればなれになる。幼く淡い恋の終わり。 12年後、ニューヨークで劇作家のタマゴとなったナヨン(グレタ・リー)は、ヘソン(ユ・テオ)がフェイスブックで自分を捜していると知って連絡を取り合うようになる(ズームではなくスカイプで!)。...