特選掘り出し!:「ミゼリコルディア」 暗い愛憎渦巻くスリラー
ヨーロッパで高い評価を受けながら、日本に紹介されていなかったフランスの鬼才アラン・ギロディの3作品が一挙公開される。そのうち最新作の「ミゼリコルディア」は、とある田舎の村を舞台にした犯罪映画だ。主人公は、かつて師事したパン屋の主人を弔うために帰郷した青年ジェレミー(フェリックス・キシル)。彼は亡くなったパン屋の妻マルティーヌ(カトリーヌ・フロ)の家に泊めてもらうが、彼女の息子が失踪し、ジェレミーに疑惑の目が向けられる。 観客はジェレミーが前半である重大な罪を犯す光景を目撃し、彼がそれを隠蔽(いんぺい)する様を見つめることになる。つまり事実がすべて開示され、これといった謎が存在しないサスペンス...