アイダよ、何処へ? 虐殺の渦中、母の闘い
母は強し。洋の東西を問わず、わが子を守るためならなりふり構わず猛進する。そんな母親であるアイダの目を通して、1995年7月、ボスニア・スレブレニツァで7000人のボシュニャク人がセルビア人勢力に虐殺された事件を描く。人類史に刻まれた犯罪を、極小の視点から捉えた衝撃作だ。 アイダ(ヤスナ・ジュリチッチ)はスレブレニツァの国連施設で通訳として働く。セルビア人勢力が侵攻し、国連保護軍は劣勢で物資も欠乏していた。避難民で施設内はすし詰めとなり、なお数千人が押し寄せている。保護軍幹部は空約束を連発するが、アイダは保護軍が孤立して機能喪失した内情を察知し、家族の安全確保に奔走する。セルビアのムラディッチ将...